浄化槽から下水道に。切替工事ってどうすればいい?
- 公開日:2021年4月21日
- 最終更新日:2022年7月8日
下水道切替工事の案内が来た
「この地域に本下水が通るので、業者を探して、見積りをとってください」そんな案内が市役所から来たけど、実際何をするの?どんなことをするの??突然のことで解らない事ばかり。説明はされたけど、いまいちわからない…そんな方の為の記事です。市で行う事業なので、若干の違いはあるかと思います。千葉県の事例をもとに工事について説明をしていきます
2.浄化槽から下水道工事はしないといけないの??
3.いつまでに工事をするの??
4.どんな業者に依頼すればいいの??
5.費用はどれくらいになる???
6.どんな工事が必要なの?
工事が終わるまでのスケジュール
大まかな流れはこのようなかたちです。ここから先で詳しく解説していきます。
<市から案内~説明会>
市から案内が来ると、自治会の会館や公民館などに対象地域の方が集められて、工事の説明があります。船橋市・市川市はこの説明会が終わったら宅内の接続工事を行う業者からポスティングや訪問の営業が始まります。
2020年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、説明会が実施されず、案内だけが届いているところが多いようです。
下の図にあるように、下水道接続工事は市が設置・管理する部分と、個人が設置管理する部分があります。個人が設置管理する部分については、各家庭で業者を探して、見積りを作成し、業者を選ぶ必要があります。
見積り作成の為には既存の配管の測量が必要になります。家の周りに排水管が通っているので、その深さと長さを測って、配管状況を確認して工事金額を算出します。
市からは、3業者くらい見積りをとって下さいという指導もある為、同じやり取りを別業者とも行うので混乱する可能性があります。どの業者がなんと言ったかをメモしておくことが大切です。
<本管工事~宅内工事申請>
家の前の道路に本管という大きな下水道管が入ったら、「公共桝」という汚水を集める容器を設置します。その際に「公共桝設置届」という書類を提出します。
松戸市はこの公共桝が設置された後に業者が営業を開始するルールとなっています。
地域の本管工事が終わり、下水を流しても大丈夫な状態になると「供用開始の告示」がされ、宅地内の工事が出来るようになります。
宅内工事を行う為には工事契約をした、業者が市へ工事申請を行い許可が下りた後に行われます。自治体に出されている申請数が多い時期や特殊な工事があるなど、事情がない限りはだいたい2週間程度で許可がおり、職人や汲み取り業者の手配、お客様のご都合などを調整して工事日が決定します。
<宅内工事>
朝の時点で雨が降っていない場合は工事スタートとなります。雨の場合は中止となります。
また、事前に工事範囲には物がないようにしましょう。職人は気を付けながら作業をしますが、作業をする箇所にものがある場合、移動をしておいた方がトラブルの防止にもなります。
①最終汲み取り
工事は最初に浄化槽に残っている物をすべて取り出します。汲み取りは接続工事をする業者が行うのではなく、市から許可を受けた、汲み取り業者が行う為、工事の契約金額とは別に汲み取り費用がかかります。
浄化層の中では汚物を微生物の力で分解しキレイになった水を排水します。そのため浄化槽内には汚物と排水を待つ水が溜まっています。通常の汲み取りは浄化槽内の汚物のみを汲み取り水を残しますが、最終汲み取りは水も全て汲み取り空の状態にするため、汲み取り量が多くなります。
そのため定期的に行う汲み取りの金額より、少し多めに用意する必要がありますのでご注意ください。
②排水の停止
最終汲み取り以降はトイレやお風呂、洗面所、キッチンと言った水を流す行為が出来なくなります。
浄化層を廃止してしまうので、接続前に水を流してしまうと、工事をしている職人さんに全部かかってしまいます。
工事中食事を作ることも、食器を洗うこともできないので、外食される方が多く、お手洗いも外で済ませる方が多いです。ご高齢の方や、小さなお子様がいる家庭でトイレの回数が多い。という場合、ポータブルのトイレを貸し出す業者もいます。
<工事完了~市役所検査>
工事が終わると、市に工事が終わった事を報告します。「完了報告」と言います。これも契約をした業者が申請を行います。完了報告を受けて、市はちゃんと工事をしたか?問題なく流れるようになったのか、確認をする為、お客様の家へ伺い検査をします。「市役所検査」に合格すると、下水料金の請求が開始されます。
以上が工事が終わるまでの流れについては以上です。さいたま市だと、説明会がなかったり、三郷市は説明会があったり、市役所検査がある地域、ない地域があったり市のルールに応じて流れは変わるので、地元の業者に問合せをすして確認してください。
浄化槽から下水道工事はしないといけないの??
“公共下水道の供用が開始された場合においては、当該公共下水道の排水区域内の土地の所有者、使用者又は占有者は、遅滞なく、次の区分に従つて、その土地の下水を公共下水道に流入させるために必要な排水管、その他の排水施設(以下「排水設備」という。)を設置しなければならない。
下水道法という法律にはこう書かれています。
簡単にいうと、「供用開始の告示」つまり、この地域は下水が流せるようになりました。という連絡があったらなるべく早く工事をしましょう。という事です。工事はしないといけないと法律で決まっています。
本管工事の際に「公共桝設置届」というものを提出します。これを届けないと、本管業者が任意に着けていきますが、事前に宅内工事の業者と打合せをしておけば、宅内工事をするときに工事がしやすい場所に設置することができます。(市によっては、自治体で位置を決めます。)
時々ですが、公共桝の場所のせいで、難しい工事になってしまい、工事金額が高額になってしまう時があります。
また、公共桝が設置されたのに、何年も工事をしていないと市から催促が来るため、結局工事をしなくてはいけなくなります。工事開始時期に一緒に工事をするのが実は一番お得なのかもしれません。
いつまでに仕事をするの?
下水道法では「遅滞なく」という表現で分かりにくいですね。
下水道法では、汲み取り式のトイレは3年以内に浄化槽廃止の工事をしなくてはいけない。と書かれています。
浄化槽を廃止して、下水へ切り替えなさい。ということです。つまり、3年以内に工事しないといけません。前章でも言いましたが、工事をしないと市から催促がきてしまいます。
「汲み取り式のトイレ」と聞くと、和式のいわゆる「ぼっとん便所」を思いつきますが、水洗トイレでも浄化槽に溜めて汲み取り式にしている場合は汲み取り式です。
期限を決めてまで、なぜ浄化槽から下水道にしなくてはいけないのでしょうか?
詳しくはこちらをご参考下さい。
どんな業者に依頼すればいいの?
下水道工事はしないといけないというのは分かった。では、どんな業者に依頼をすればよいのでしょうか??
下水道工事は誰でもできるわけではありません。「排水設備工事指定店」という許可が下りていないといけません。しかも、工事をする自治体から必要な為、船橋市で許可をもらってるから、千葉市で工事することで出来ません。
船橋市で工事をするなら、船橋市から、千葉市で工事をするなら、千葉市から、それぞれの自治体で許可が必要です。市は公共的な立場なので、「この会社がいいですよ。」というお勧めはしていませんが、市役所に「指定業者一覧」というものがあります。
その市に登録されている排水設備工事指定店を一覧表にしたものです。Webに載っているところ、紙面で配布しているところ、地域によって様々です。
沢山の業者の名前が書かれている指定業者一覧から、業者を選びますが、その際にポイントなのは、どれくらいの工事件数を行っているのか?webや知り合いに工事をした会社のクチコミを参考にするのも良いでしょう。切替工事以外の工事もお願いしたい。という方はリフォームの工事をどれだけやったことがあるか?というのも業者選定の基準に入れていいでしょう。
費用はどれくらい??
見積りを依頼する前に、その工事はどれくらいか?金額を知りたいですよね。
しかし、建物によって配管の距離が違っていたり、桝の深さが違ったり、浄化槽の大きさが違っていたりと様々なので、工事の条件で金額が違う為、これくらいです。というのは難しいです。資金に不安がある方は役所が行っている貸付制度が利用できます。
条件が市によって違うので、見積りをする際に貸付の事を業者に聞いてみましょう。
どんな工事が必要??
下水道切替工事と一緒にトイレの交換工事が必要な場合があります。トイレの床や壁がタイルの場合、一度外すときに破損する場合があります。そのため内装の工事も追加されます。
また、浄化槽がある場所によっては、駐車場の工事や家の外階段を壊す工事も発生します。エクステリア工事もできる会社だと、総合的に相談できます。