介護の為にキッチンを2階に移動できるの?
- 公開日:2020年7月14日
- 最終更新日:2021年9月7日
親の安全を考えた時、困るのがキッチン
「高齢になった親が一人で暮らしているのは不安」
「高齢になると、階段の上り下りが危険なので、1階で生活してほしいが、1階には十分なスペースがない」
建坪が小さめの家にお住まいの場合、このようにお悩みではないでしょうか?
家には十分なスペースがないので、老人ホームへの入居を検討したいと思っても、費用が高いこと、近くのホームの空きがない等の理由から、入居が難しい方もいらっしゃいます。
そのような場合におすすめなのが、1階のキッチンを2階に移動させる事です。今回はキッチンを移動させる理由やメリットとデメリット、リフォームをする際に考えるべきポイントについて解説します。
キッチンを移動させ、高齢になった親と安心して暮らすために何が必要か参考になれば幸いです。
1-1 部屋が足りないから
1-2 親にキッチンを使ってほしくない
2.介護の為のミニキッチン
2-1 料理が認知症対策に有効
2-2 プライバシーの確保
3. 2階のメリット・デメリット
3-1 メリット
3-2 デメリット
4. リフォームを検討する注意点
4-1 どんなキッチンにしたいか
4-2 今のキッチンの問題点
5. 工事業者の選び方
5-1 工事業者探し方
5-2 業者選びのポイント
6.まとめ
2階にキッチンを移動した訳
2階にキッチンを移動させるのはいくつか理由がありますが、大きく言えば2つに分けられるでしょう。ここでは2つの理由について解説します。
部屋が足りないから
キッチンを2階に上げる理由は1階の部屋が十分な広さではないためです。高齢の親がいる場合、階段の上り下りは危険なので、できるだけ1階にいてほしいもの。
介護にはお風呂とトイレの方が優先順位が高く、安全性を考えると、どうしてもお風呂とトイレが1階にある必要があります。
家に広さがあればよいですが、十分な広さがない場合はキッチンを2階に上げることで、1階の広さが確保しやすくなります。
親の介護の世代になると、ご自身の子供は家を出て部屋が空き部屋になっているお宅も多いです。
こちらの事例の場合は2階にLDKを移動し、家族の寝室は1階に変更しました。
2階に高齢の親の部屋を用意するより、下に用意する方が安全です。
親にキッチンを使ってほしくない
2階にキッチンを置く理由は、高齢の親にキッチンを使ってほしくないからという理由が挙げられます。
- 物忘れによる火の消し忘れが怖い
- 親と身長差があり、どちらかに合わせるとどちらかが使いにくい
- 濡れた床で滑って怪我されたらと心配になる
以上の理由から、万が一を考え高齢の親にキッチンを使って欲しくないと考える家庭は少なくありません。そのような場合にキッチンを2階にすることで、キッチンに入りにくい環境を作ることができます。
階段があると、高齢の方は特に登るのが辛いなどの理由から、2階に行くことが億劫になり、親がキッチンに入りにくくなるでしょう。
女性にとってキッチンは特別な場所です。家族でも使って本来あるべき場所に物がない、使った痕跡があると不快に思う人もいます。共有で使うというのは親でも嫌な方はいるようです。
介護の為のミニキッチン
2階にメインキッチンを作る場合、1階にはミニキッチンを置く方法も選択肢です。1階にミニキッチンを作る理由について次で解説します。
料理が認知症対策に有効
ミニキッチンを置くと効果的なのは、ミニキッチンが認知症対策と安全の両面を考えた場合に有効なためです。
キッチンで料理をすることは手を動かし、物事を順番に進める行程で脳が活性化されるため、認知症対策に有効です。しかし、認知症が進んでいる親の場合、火や包丁を扱うのはケガなどのリスクがあります。
1口用のIHヒーターや洗い場が付いた、ミニキッチンがあれば、簡単な料理や食器洗いなどはでき、認知症対策になりつつ、安全なキッチンとなります。
プライバシーの確保
ミニキッチンを1階に置くのは、キッチンのプライバシーを確保するためです。認知症が進んだ親がキッチンを使う場合、ヘルパーさんと一緒に使うことが多くなります。
その場合に自分が使うキッチンをヘルパーさんも使うことになり、プライバシー面で不快に思う人も多く、介護のためには有効であるにもかかわらず、ケアプランに取り入れられにくいということも多いそうです。
このような場合に、ミニキッチンがあることで、プライバシーを確保しつつ、ヘルパーさんに気兼ねなくキッチンを利用してもらえ、質の高い介護を受けられます。
2階のメリット・デメリット
「2階にキッチンを持っていくのに実際どのようなメリットがあるのか知りたい」
「2階にキッチンを持っていくのにデメリットはないのか」
気になる人も多いと思います。
ここではキッチンを2階に持っていくメリットとデメリットについて解説します。
メリット
キッチンを2階に持っていくメリットは、キッチンのあったスペースを別の用途に利用できることです。具体的な用途の例としては以下のものがあります。
- 介護をする人用の部屋
- 広いリビング
- 寝室
介護用の部屋は介助をする人のためのお部屋です。夜も介護が必要な場合、離れた場所にいると負担になりますが、夜に同じ部屋で過ごすのはストレスになることがあります。
部屋を隣同士、もしくは近くすることで、お互いの距離感が保たれストレスが軽減されます。
親と同居する場合、みんなで集える広いリビングがあるのもよいでしょう。キッチンを2階に上げることで、親の部屋とリビングをつなげてリビングをより広く使うこともできます。家族の距離が縮まりますね。
1階はすべて家族の寝室にして、2階をLDKに作ることもおすすめです。寝室が1階にあることで夜の介護負担が楽になります。
キッチンスペースをどのように活用するのかは、必要な介護の度合いや家族関係、間取りの関係によって変わります。部屋のスペースに問題がある場合は、介護対策をする上で2階にキッチンを持っていくメリットは大きいと言えるでしょう。
デメリット
キッチンを2階に持っていくのはメリットばかりではなく、デメリットもあります。それぞれのデメリットを簡単に見ていきましょう。
食事を1階におろす手間が発生する
2階にキッチンを作った場合、1階で親が食事をするためには、食事を1階に持っていく必要があります。そのため、食事を運ぶ手間がかかってしまうことはデメリットとなります。
冷蔵庫を買った時に上にあげられない場合もある
冷蔵庫を購入した場合、冷蔵庫の大きさや間取りによっては冷蔵庫を上にあげられない場合があります。
キッチンを2階に移動させる場合は、冷蔵庫の大きさや搬入経路を考えなければいけません。
配管などを変える為工事が大掛かりになる
キッチンを1階から2階に移動させる場合、給排水の配管工事が欠かせず、さらに排気ダクトを作る為に壁に穴をあける大掛かりな工事が必要になります。そのため、工事費用がどうしても高額になり、デメリットに感じる人もいるでしょう。
キッチンを2階に移動した工事の工程はこちらに詳しく掲載しています。
リフォームを検討する注意点
2階にキッチンを移動するリフォームを考える場合、メリットもありますが、デメリットもあるため、内容をよく検討する必要があります。具体的な注意点や考えるポイントをここでは解説します。
どんなキッチンにしたいか
親と同居するため2階にキッチンを移動するという事は、リフォーム後の生活動線や生活の仕方が大きく変わります。
そのため、リフォーム後の生活がどうなるのかきちんと考え、どのようなキッチンが必要なのか、広さや間取りはどうするのかなど、その内容をよく考える必要があります。
親の介護の度合いによっては、ケアマネージャーと相談し、安全で、お互いにストレスが生じないようにすることが大切です。
今のキッチンの問題点
せっかくリフォームするのであれば、今よりもよいキッチンにしたいですよね。そのためにも、今のキッチンの問題点を整理しておきましょう。
現在の問題点は何か、不便に感じる点や改善したい点を紙に書くなどして整理することがおすすめです。 そうすることで頭の中が整理されると同時に夫婦の間で情報共有ができ、リフォーム会社への依頼がスムーズになります。
キッチンのリフォームする機会はそう多くはないため、キッチンの様々な不満を解消し、要望を実現できるようにしましょう。
工事業者の選び方
キッチンリフォームをする場合、工事業者の選び方も大切です。特に2階にキッチンを移設するリフォームは高度な建築知識が求められるため、安さだけで選ぶのは危ないでしょう。ここでは工事業者の探し方や選定のポイントについて解説します。
工事業者探し方
工事業者を探す具体的な方法はいくつかありますが、大まかに4つあるでしょう。それぞれの方法の特徴を解説します。
過去に工事した工務店に依頼する
キッチンリフォームを依頼する業者選びの方法として、過去に工事した工務店に依頼する方法があるでしょう。
キッチンリフォームは信頼できる業者に依頼することが大切です。そのため、過去に依頼し、印象がよい工務店がある場合はそちらに依頼するとよいでしょう。適切な業者が思い当たる場合には間違いない方法と言えるかもしれません。
設置したいキッチンのメーカーショールームで紹介してもらう
設置したいキッチンのメーカーショールームで紹介してもらうのも選択肢です。各メーカーでは施工業者の紹介を行っており、メーカーだからこそ安心できる業者を紹介してもらえます。
友達からの紹介
友達から紹介してもらうのも選択肢です。キッチンなどのリフォームは費用が高額なため、身近でリフォームを依頼した友達がいる場合は紹介してもらうのもよいでしょう。紹介制度がある会社もあり、恩典がもらえる場合もあります。
自分で調べる
チラシ・HP・クチコミを使い、自分で施工業者を選ぶのも選択肢です。手間はかかりますが、納得できる業者を選びやすいでしょう。
キッチンリフォームは費用がかかる上、多くの職人が必要な工事です。どんな進め方が、職人や社員の質などを確認するために、あまり費用のかからない別の工事を依頼し、対応力を見るのもおすすめです。
業者選びのポイント
リフォームは何度も行うものではないため、業者を選ぶポイントが今ひとつわからない、という人もいるのではないでしょうか。ここでは様々な方法で見つけた業者をどうやって見極めていくか、業者選びのポイントを解説します。
専任の現場監督の有無
キッチンを2階に取り付ける為にはたくさんの職人が必要です。 具体的には以下の職人が関わります。
- 大工(解体や設置する部屋の造作を行う)
- クロス職人(設置をする部屋、元のキッチンの壁紙や天井のクロスを貼る)
- 水道職人(水道が2階に移動し、配管の位置も変わるため必要)
- 電気職人(電気の配線を変更)
- ガス職人(ガスの停止と復旧、火の位置が変わるので配管も変更が必要)
- 設備職人(キッチンを組み立て。メーカーによって組み立てる職人が変わります)
キッチン工事はこれだけの職人が関わる工事です。作業の工程によって職人を手配したり、工事の進み方によってスケジュールを作り直したりし、お客様や職人に都度説明する必要があります。また、職人によってやり方が違う為、現場で手順で意見がぶつかることも。そのため、職人を取りまとめる「現場監督」の存在が欠かせません。
営業職でもあるのに、現場監督の役割もしているという業者もあります。専任の現場監督がいるかどうか、どのように現場や工程を管理しているか確認しましょう。
専門資格があるか?
専門の資格があるかどうかも確認しましょう。2階へのキッチンの移設の場合、下記の資格を保有している会社であれば、より安心して工事を任せられるでしょう。
- 一級建築士(間取り変更等がある為、大きな工事でも安心)
- キッチンスペシャリスト(キッチン専門の資格、知識があると商品選びに安心)
- 施工管理技士(現場監督として専門の資格があると工事を任せても安心)
上記の資格は必須というわけではありませんが保有している場合であれば、より自分の要望にマッチした提案をしてくれる可能性が高いです。どの資格も簡単には取得できない資格です。
きちんと勉強し、経験を積んでいる証になります。
介護保険での工事をしてくれるか?
介護保険の工事が対応可能かどうか、確認しましょう。工事内容によっては介護保険が適用できます。
介護保険や介護リフォームは建築分野だけではなく、介護の知識も求められるものです。介護に精通した会社であれば、保険申請に必要な書類を用意する、ケアマネージャーとのやり取りをしてくれるなどのことを行ってくれるため、手間が省けるでしょう。介護の工事の実績がわかれば、より失敗しない工事ができます。
福祉住環境コーディネーターがいる会社だと心強いですね。
まとめ
生活空間が1階から2階に上げることにはメリットもあり、デメリットもあります。特に高齢の親の為の場合、家族が増えるので生活の仕方がらりと変わります、これから先の生活をどうしたいのか?というのをしっかり見据えてのリフォームをおすすめします。