窓・玄関の断熱って必要なの??
- 公開日:2020年3月13日
- 最終更新日:2023年3月4日
断熱は窓・玄関から
室内の温かい空気は約58%が窓や玄関などの開口部から逃げているのをご存知ですか?
「戸建は底冷えする」というイメージの床は実は10%程度です。つまり、窓や玄関を断熱化することで、家の断熱性能はぐっと向上します。
1-1 ガラス・窓枠で逃げる
1-2 すきま風で逃げる
2.窓の断熱方法
2-1 空気が冷えるのを防ぐ
2-2 窓の隙間風対策
3.玄関の断熱
3-1 断熱ドアへの交換
3-2 玄関とリビングの間にドア
4.まとめ
窓・玄関から冷える訳
(日本建材・住宅設備産業協会の資料を基に作成)
開口部から約58%の温かい空気が逃げている。その原因は、二つあります。
- ガラス・窓枠で逃げる
- すきま風で逃げる
2つについてそれぞれ説明します。
ガラス・窓枠で逃げる
ガラスは特に断熱性等を指定していないと「単板ガラス」と呼ばれるガラス板1枚だけで外と中を仕切っています。外気でガラスが冷える事により、室内の温かい空気が冷たい窓によって冷やされます。
「熱伝導」という言葉を聞いた事があると思います。これは“物体内において熱が高温から低温に移動する”現象の事を言います。
例えば冬は、エアコンで温めた室内の熱が窓を伝って寒い外気に熱が奪われ、室温が下がります。
夏は逆で、外の熱い気温が室内に伝わり部屋が暑くなります。この熱の移動が物体によって伝わりやすさが違います。
窓枠がアルミ製の場合、木やプラスチック等と比べて熱が伝わりやすく、アルミの窓枠で単板ガラスを使用している窓(一般的な窓)は冬に寒く、夏は暑い室内になります。
すきま風で逃げる
熱伝導によって熱が逃げる他、家の気密性が低いと外から冷たい空気が入ってくるため熱はどんどん逃げていきます。
特に開口部は換気の為に窓を開けたり、外からの出入りの為にドアを開けます。他に窓が開いていたり、換気扇が回っている、開口部のパッキンが劣化して隙間ができている。そんな場合は空気の流れができる為どんどん冷えてしまいます。
これを止めるには、空気の流れを止める為、パッキンを変えたり、コーキングを打ち直したりして家の気密性を上げます。
コールドドラフト現象でさらに冷える
(画像提供:LIXIL)
せっかく室内を温めても、窓が冷たいと、熱伝導で空気が冷やされます。ではそれでなぜ窓辺以外の室内の温度が下がるのでしょうか?冷たい空気は部屋の下に溜まる性質があります。一方で暖かい空気は上に溜まる性質を持っています。
窓が開いていなくても、隙間風がなくても、熱伝導で窓付近の温度が下がり、床面に流れていきます。この空気の流れを「コールドドラフト現象」と言います。
すきま風と間違うことが多いですが、断熱性能の低い家によくおこる現象です。
(画像提供:LIXIL)
冷気は足元に溜まるので、座っている時には暖かさより冷たさを感じやすくなります。足元が寒いのは、床の断熱性能が低いからではなく、冷たい空気が床に溜まっているからです。
コールドドラフトを防ぐには窓を冷やさない事です。
窓の断熱方法
窓と玄関で断熱方法が少し違うので、ここでは窓について説明します。
空気が冷えるのを防ぐ
空気が冷えるのは、窓ガラス・窓枠それぞれを冷やさないようにします。
- ガラスの断熱性能を上げる
- 窓枠を熱伝導率の低いものに変える。
この2点です。
断熱性があるガラスは、ガラス板を2枚重ねた「複層ガラス」というものがあります。
2枚のガラスの間に空気の層がある為、室内に冷たい空気が伝わりにくい性質があります。
最近は3枚重ねた「トリプルガラス」というのもあります。
寒冷地でなければ複層ガラスで十分な断熱性能が得られます。
窓枠はアルミから樹脂製に変えることで、冷えにくくなります。
(画像提供:LIXIL)
窓の断熱を行うとコールドドラフト現象も起きなくなるので、空気が冷える悪循環もなくなり、暖房効率も上がり、断熱化されたと実感できます。
窓の隙間風対策
(画像提供:LIXIL)
窓の隙間風対策には気密性を上げる事が重要です。
パッキンや窓周りのコーキングを打ち直すなどがあります。
応急処置としては隙間テープを張る方法があります。隙間テープは100円均一でも購入でき、サッシと窓枠の間にスポンジ状のテープを貼るだけで簡単に施工できます。
あくまでもこの方法は応急処置なので、抜本的な解決にはなりません。
窓枠から窓を交換する方法もありますが、おススメなのは、内窓の施工です。
(画像提供:LIXIL)
内窓とは今ある窓に、室内からもう1枚窓を取り付けることです。
既存の窓と内窓の間に空気の層ができる為に、寒さが直接伝わりにくくなります。内窓を別名、二重窓とも言うい、寒冷地では断熱性を上げる為に使用します。
窓の断熱性を高めることで、以下の機能が期待できます。
- 結露の抑制
- 防音性の向上
- 防犯性の向上
- 紫外線カット
断熱性を効率的に高めるため、断熱対策としては非常に効果的です。現状の窓に追加する形で取付られるので工事費用が抑えられ、工期も1日ですみます。
LIXILにて内窓の有無での温度の違いを実験していますのでご参考下さい。
メリットが多そうな内窓ですが、デメリットとしては、窓が増える分、開け閉めの動作も2回必要になり、手間がかかってしまうことです。
窓の断熱まとめ
- 断熱には内窓か窓の交換。
- 窓の交換なら複層ガラスを選ぶ。
- 窓枠は樹脂製を選ぶ
内窓設置の施工事例はこちら
玄関の断熱
玄関は土間が寒さの原因と思われますが、床からよりも、ドアからの冷気の方が冷える原因です。
玄関ドアが木製の家は、年数が経つにつれ、木が乾燥して縮み隙間ができやすくなります。また、枠部分にアルミを使用している為、冷えやすいです。
木製ではない玄関ドアの家も、アルミの枠にガラスを入れたドアになっているのではないでしょうか?
それは窓と同じで冷えやすいドアです。
玄関の断熱の場合、ドアを断熱性のあるものに変えるのがお勧めです。
断熱ドアへの交換
普通のドアと断熱ドアの温度の差(画像提供:LIXIL)
断熱ドアはその名前の通り、従来の玄関ドア以上に外気の影響がを受けにくくなっているドアです。
ドア本体に断熱材を入れ、採光のためのガラスも複層ガラスになっており、寒冷地でも十分な断熱性能を持っています。
工事は1日で終わりますが、玄関ドアを一時的に取り外します。真冬は避け寒くなる前に工事をしましょう。
玄関とリビングの間にドア
玄関はドアを開けると冷気が入ってきてしまいます。また、土間部分は断熱性が低い為、リビングなどと比べると温度が下がりやすい場所です。
少しでも居室内の冷気の侵入を防ぐ為、玄関とリビングの間にドアを設けるのも一つの案です。
寒冷地ですと、玄関の外に風除室を設け、外の空気が直接室内に入らないよう工夫しています。室内のドアは構造上、引き戸より開き戸の方が断熱性能は高いです。
まとめ
寒さ対策の断熱は、冷気の流入を止め、外気からの影響を減らします。実は、同じことは暑さ対策にもなります。
断熱効果が低いと、冬は暖かい空気が逃げやすいため、断熱効果を上げて閉じ込めます。夏は冷たくした空気を閉じ込める為エアコン効率が上ります。そのため断熱リフォームは冬の寒さ対策だけではなく、夏の暑さ対策にも効果が期待できます。
断熱って何?という基本的な事については、別の記事に書かれているので、そちらをご参考下さい。
窓・ドアの断熱で補助金が適用されます
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